絵本は思い出の場所

子どもたちに読み聞かせた絵本のことなど

きりのなかのサーカス

いつかの1冊「きりのなかのサーカス」

きりのなかのサーカス

きりのなかのサーカス

 

 作者のブルーノ=ムナーリさんの本は、「木をかこう」という絵本というか絵の描き方の本が大好きです。この本は、絵を科学的に描こうとするアプローチで説明がしてあり、大変感銘を受けました。私が子どもの頃、友人に教えてもらった“上手な絵の描き方”が理論付きで書いてあったからです。

本題の絵本からは離れますが、その描き方というのは、「育つように描く」というもので、木を描く時には根元から葉に向かって描いていくというものでした。種が埋まっているあたりを描いて、それから細い芽が出て、それが幹になって、枝が伸びて、葉が茂るというように描いていくと木らしく描けるというもので、いま思えば、子どもの発想というよりは誰かに教わった描き方なので、友人も聞いたことをそのまま教えてくれたのだろうと思いますが、当時の僕はとても納得したものでした。

木をかこう (至光社国際版絵本)

木をかこう (至光社国際版絵本)

 

 さて、本題の「きりのなかのサーカス」ですが、子どもたちには大好評の、仕掛け絵本でした。紙の質から使い分けている、例えば霧の表現は半透明の紙で表わしていて、トレーシングペーパーの向こうに印刷された絵が見えるというような楽しみがある絵本。穴が空いている加工がされているページでは、穴から覗いた向こうの絵がめくるたびに意味が変わっていき、最初に見た穴から覗いた絵は、次のページを開くと違った絵の一部となっているといった調子(うまく伝わらない)。

何はともあれ、楽しいです。

ただ、絵が難解。そして、文章が謎に満ち満ちている。

読み聞かせるのには、一苦労どころでは済みません。

ただ、ちーちゃんもあーちゃんも自分たちでめくって、意味もわからず(いや、意味がわからないから素直に)楽しんでいました。

読み聞かせる側の満足感と、子どもたちの楽しみ方はまた別ですね。

特に、仕掛け絵本はストーリーよりも仕掛けのギミックを楽しむものなので、読み聞かせて楽しませようと思う私が間違えているってのはわかっているのですが。

なんだかんだと書きましたが、図書館にあったら一度開いてみてください。愉快な絵本です。